創作する、の2
「ーー体は理(ことわり)で出来ている。
血潮は炎(いかり)で、心はくず鉄。
幾度の戦場を経て惨敗、
ただの一度も勝利はなく、
ただの一度も満たされない。
担い手はどこにもおらず、
煙の丘で慟哭す。
その総てはきっと虚飾(うそ)で出来ていた。」
そう、わたしです、門倉亜人です。なかなか良いアレンジができた気がします。
創作意欲そそる出来事がありましたので、ゾンビ物の続きです。
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・なんで・・どうして・・・わたしがこんな目にッやっぱり家を出るんじゃなかった、備蓄がなくなりそうだからって外に出るんじゃなかった・・・ッ
怖いッ怖いよぉ・・・呼吸が、収めなきゃ、音、ばれるっすぅ~ふ~
みしっみしっおぁあ~あぁ~お゛ぉ゛っおぉぉおおぉおお
人気のなくなった閑散としたスーパーマーケット、その商品棚の一つの前を年のころ30台と思しきスーツ姿の男性が歩いている。おかしなことにその手には買い物かごも荷物もなく、買い物をしに来た風体ではない(そもそも店が営業をしている様子はないが)。肌は青黒く、頬はこけていた。手の爪には血であろう、赤黒く染まっており、何よりも異様なのはその表情であった。その瞳は前を向いておらず、絶えずひくひくと動き回り、左右で異なる運動をしていた。一見して明らかに常人のふるまい、仕草ではない。絶えず叫び声を上げようとしているのか、呻きを漏らしているが、喉が枯れて声が出なくなったかのようなしゃがれ声しか出ていない。それがいっそう、異様さに拍車をかける。着古したスーツはかなり着崩れており、しかしそれを気に留める様子はない。爪だけでなく、スーツにもところどころ血痕が認められた。
同じ商品棚の裏に制服姿の少女が一人、座り込んでいた。大きめのナップザックを背負っているところを見ると遠足の帰りのようにも見えなくもない。15、6に見える身長だが、いささか子供っぽく髪を二つに結んでいた。
おちついて・・・ゆっくり裏から・・・ここを離れるんだ・・・ゆっくりいまならあっちを向いてる・・・
ゆっくり四つ這いの姿勢のまま男のいる方とは逆がわへ移動する。普段通っている時とは全く違う距離。視界に映る出口が今はとても遠い。出口までは直線にしてほんの9から10メートル、数秒で到達できるはずの距離だ。しかしその間にはもはや遮蔽物はない。男はあちらを向いているのだろうか。商品棚の向こうの様子はこちらからはわからない。うめき声はまだ先ほどのあたりにある。
どっちを向いてるの・・・?確認しようにも目があったらどうしよう・・・できない・・・
いちど大きめにでもゆっくりと音を立てないように深い呼吸をする。右手には商品棚。すぐに解決策は思い付いた。手ごろな大きさの缶詰をつかみ、そして投げた。
がらんっ
お゛・・・お゛ぉ゛・・・?
いった!よしいけっ!いま!
四つん這いだった低い姿勢から素早く走り出した。出口はすぐそこ。視界は良好、前方に人影なし!
ずべぇっ!
ナップザックの中身が一部床にぶちまけられた。男の視線もこちらへ。同時、駆けだす両者。男は先ほどの様相からは想像できないスピードで迫ってくる。それは執念のようなもので駆動されているように見えた。
うそっまって、いやっいや!いやいやいやいやいやいや!死にたくない死にたくない死にたくない!
必死に走る逃げる少女、その心虚しく先ほどまで四つん這いだったのがいけないのか、急な運動と恐怖に足をもつれさせ、再びの転倒。本能的に振り返るとすでに男が追いついていた。それは勝利の雄たけびか食事の前のあいさつなのか、腕をだらりと下げたまま男は天へ咆哮す。
お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!
「いやぁぁあ!だれかぁぁぁぁぁあ!!」
ゾボキュ!!!!
男の体が二つに割ける。右肩口から左の腰へ向けて線が走り、そこから向こうの視界が開ける。ズレ落ちた体の向こうから声を聞く。
???「どうしたJK?助かったんだぜ、笑えよ。楽しいときは笑え、うれしいときは笑え、悲しいときも笑え、絶望したときも笑え、失敗しても笑え、科学を笑え、宗教を笑え、神様を笑え、人生を笑え、生活を笑え、総てを嗤え、嘲笑え!そうすりゃ生きてても死ぬ時も笑えるぜ?w」
現れた男の両の目が不揃いに見開かれる。口元は柔軟にそして醜悪に返し付きの釣り針のような形状をとる。
「ヒッ」
なになになになに!?こんどは変質者!?死ぬ!殺される!
「なんか話聞いてねぇ顔してんなぁ?」
「きゃあぁぁあ!」
平手打ちが不用意かつ不躾に近づけられた変質者(?)の顔面を襲う。
「やべ、予想外のリアクション・・・アドリブ要求かよぱねぇなコラ。フラグの立て方間違えた?」
「せっかく・・・あぁもうせっかくキメてんのによぉ、空気読まねぇよなぁこいつら、ま、ゾンビだしなぁ!?おたくらフラグって知ってるぅ?こんな場面ででわらわら出てきちゃって全滅フラグよ?wそういうのわっかんない?wわっかんないよなぁ!?ゾンビだもん!」
路地の裏から、店の軒先から、一般家庭の玄関から、先ほどの(ゾンビ?)男と同じような人影が男(変質者?)の後方を取り囲み始めていた。
「まぁいいや、これはあれでしょアレを言う場面!チャンスってやつぅ!?」
「おぉいJK!『ここは俺に任せて先にいけぃ!』」
「ひっひぃいい!」
「なんだよ・・・テンプレも知らんのか今どきのJKはぁ・・・!?そんなんじゃぁヒロイン枠狙えないぞぉ?なんも言わんと逃げおってから・・・」
なに!?なんなの?なにがおきてるのかぜんぜんわかんない!はぁっはぁっ
男がゾンビ集団に向きかえりながら右手の日本刀の切先をそちらへ水平に掲げる。
???「お前らに言っても意味ないけどさ、趣味なんでやらせてもらうわ。」
???「それにしてもいい時代になったよなぁ。こんなに堂々と人斬りが楽しめてなおかつヒーローごっこもできるなんてよ」
???「すぅ~っこぉぉおお!我が名は東道至(とうどういたる)!、人の理(ことわり)を乱す異形の者どもよ、悉く滅すべし!推して参る!!ぶふっぎゃはははは!!」
鮮血の宴、ここに開幕
鮮血の宴ここに幕!
東道至「んだよあっけねぇな。ひぃふぅ・・・んだよ五人しかいねぇじゃん、いや、四人・・・か?ばらしすぎてわかんねーなw」
(にしてもちとおかしーなー。たしか情報でも経験的にもこいつら働き盛りの男性をメインに襲うって話だったが、俺を狙うのは仇討ちの習性があるっぽいからいいとして、JK・・・?あの個体、ロリコンかな?w)
「はぁ~観戦者がいねぇ~のもつまんねぇな~技の解説も俺様が感染発症しね~理由も説明のし甲斐がねぇ~じゃん。あ、避難所の場所教えんの忘れたわぁ・・・あと追うか。」
つづく?つづ、かない?
終わらない、だと!?前後編のつもりが!?つづくかどうかはもうわからない・・・
これは・・・書きたいように書き散らしたが・・・むぅ・・・これは・・・もしかしなくても・・・いや、よそう。それはわたしが書くべき言ではない。なんというか、うん、やばい。