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Blut unt Weiß

伊藤計劃に感化された一連の文章の群れ。日記、少年マンガを中心とするオタク趣味の感想および世界を変えるための文章が置かれる。御口に合いますれば幸い

映画のはなし

 頻度を上げるといったばかりだったが、すまん、ありゃ嘘だった(GE感

 さっくり映画の話をしようと思う。

 「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」

 「遊戯王 ザ・ダークサイド・オブ・ディメンションズ」

 「シヴィルウォー キャプテンアメリカ

の三本の予定でしたが、まずはバットマンだけです。ネタバレがあるので続きからどうぞ。

 

  

 4/18

 「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」

 

 さて、どこから始めたものかな。わたしはバットマンが好きだ。わたしのヒーロー観はるろ剣バットマンによって支配されているといっても過言ではないだろう。しかし、ここで告白しておかねばならない。わたしのバットマン初体験はクリストファーノーラン監督のバットマン三部作、しかもその二作目「ダークナイト」からだ。そしてそ以外を知らん。余談だが、しかもダークナイトバットマンの関係ないクライムアクションものだと思い込んで観に行った。CMのJOKERが強烈な印象を残したためだ。CMにはバットマンの姿かたちもなかった。(わたしにとっては)いきなりバットマンが銀幕に登場したときは大そう驚いた。バットマンのファンを名乗ることはとてもできそうもないが、それでもバットマンが好きだといいたい。バットマンこそが真のヒーローであると、わたしは言いたい。

 ヒーローとは何だろうか、救うものか、守るものか、巨大な力を持つものか?

わたしは「常世総ての悪を敷くもの(Fateシリーズより)」だと思う。異論はあるだろう。それはありうる。というよりなくては困る。わたしのヒーロー観は偏っている。偏りは他の人間によって是正されバランスを保たれねばならない。だが、自身でそれを実行することはしない。

 バットマンは外法の存在だ。ただのたった一人(!)の自警団であり、暴走する個人である。彼に悪人を裁く権利はない。彼が悪人に暴行を加えることを後ろ盾るいかなる根拠もない。彼は法を守らない。法も彼を守らない。「ヒーローは孤独(荒木飛呂彦)」である。彼の活動に一切の報酬も報奨もない。

 ヒーローはスターではない。

 ヒーローはアイドルではない。

 ヒーローは職業ではない。

 ヒーローは孤独である。

 ヒーローは生き様である。

 ヒーローとはエゴである。

 ヒーローとは、呪縛(祝福)である。

 そういうヒーローをわたしは愛する。悪とみれば倒さずにはおれぬ、化け物(フリークス)、そういう存在こそをヒーローと呼称する。

 あまりにも余計な前置きが長くなった。まとめよう、はじめに言ったことだ。

 

 わたしはバットマンが好きだ。

 

 そんなわたしが観るバットマンVSスーパーマンだ。

 なんだ、バットマンVSスーパーマンって!?ヒーロー同士が戦ってどうする!?しかも、前作「マン・オブ・スティール」を観る限りでは、一見してバットマンに勝ち目などないぞ!?バットマンはただ猛烈に金と知力と筋力があって、生涯を犯罪との闘いに捧げると誓っただけの、フリークスではあるが、人間だぞ!?生身の!?スーパーマンは飛べるし、銃弾をはじく皮膚を持つし、規格外のパワー、クレイジーなスピードにおまけに目からビーム!!

 どうしろというのだ・・・?まったく皆目見当もつかん・・・

前情報としては、知識としては友人などから聞いていた。いわく、バットマンはその知力と工夫でスーパーマンに勝てる設定、と。いや、え!?どういうことだよ全く腑に落ちんぞ。知力で埋まる差かこれは?映画で観るまでは納得できん。

 映画の前半はバットマンの過去とか、じっくりとバットマンがスーパーマンを敵と認識して戦う覚悟を決めるまでの前振りだ。幼いころに両親を目の前で強盗に殺されたバットマンの回想シーンは、かなりの尺を取って印象的に提供される。実はこれが終盤の決着に繋がる伏線なのだが、さらに言うなら、前作をしっかり観た人ならこの時点でそれに気付くはずだ。わたしはまったく気づかなかった。

 バットマンとスーパーマンが(主にバットマンがだが)対立を深めていく様は観ていてとても悲しかった。実はスーパーマンを快く思わない金と知力を持った悪党が、二人が対立するよう色々仕込んでいやがったのだが、じつにえげつない野郎だった。スーパーマンの活躍の陰で崩壊したビルの崩落などにバットマンの表の顔、ブルース・ウェインの会社が巻き込まれて、ブルースは多くの社員を失ったし、自ら救助活動もしたが、生還しても足を失って働けなくなった部下が居たんだ。ブルースの会社は福利厚生が大変充実していて、退職したその社員にも毎月補償金を送っていたのに・・・

 あのやろう!勝手にそれを横からかすめ取って会社はお前を見捨てたとか!スーパーマンを訴えようとか!余計なことを吹き込んで抱き込んだあげく!!予め用意させた車椅子ごと・・・

 

爆破しやがった!!!

 

 スーパーマンの名を貶め、バットマンに怒りの火を付けるためだけに!

 社員をだまして!裏切って!殺した!!

 ふざけやがって!!バットマン!悪いのはスーパーマンじゃない!!そいつだ!!その屑野郎だ!

 

 悲しいかな、バットマンはまんまと奴の思惑通り、スーパーマンへの個人的な恨みと人類の不信、畏怖を一身に背負って、スーパーマン打倒に邁進するのだ・・・

スーパーマンワルクナイヨ?

 

 一方のスーパーマンも世間の風当たりの強さにその精神を摩耗させていく。自らの正義に、活動に疑問を抱き始める始末。大丈夫だスーパーマン、たとえ亡き養父の幻想が君の原点だったとしても、もうそれは君の中にある本物だ。君の正義は空っぽなんかじゃない。だからそんな顔をしないでくれ、スーパーマン。切ない、切ないじゃないか。

 

 爆破事件から十八か月後、ついにすべての準備を整えたバットマンは闇の中、サーチライトをそれへ照らす。自らのシンボル、蝙蝠の影が入ったライトをだ。なんかよくわからん鉱物が発見されてそれがあればスーパーマンを弱体化させることができるそうだ。その武器開発と筋トレに十八か月をバットマンはかけた。

 スーパーマンは戦う理由がない。そもそもあの呼び出しを理解するだろうか?と思っていたが、そこであの屑野郎だ。あの野郎、スーパーマンの養母をさらって挙げ句、助けてほしければ一時間以内にバットマンを殺せと来た!何たる卑劣!!

 しかたなくバットマンのもとへ向かいバットマンに助力を乞おうとするスーパーマン。まったく彼の話を聞かないバットマン。まったく意味をなさない用意していた重火器の数々。目からビーム一発で蒸発だよ、やれやれ。いや、マジこれ勝ち目ないって、バットマン。話を聞いてくれないからとりあえず黙らせようと加減しながらバットマンを軽く吹っ飛ばす「鋼の男」やっべぇって、壁ぶち抜きまくりだって、痛ってぇよバットマン。例の鉱物はどうしたんだよぉ?バットマン!と思っていたら、バットマンが放った弾からなんかガスが出てきた。例の鉱物と同じ色のガス。なんとこれを吸ったスーパーマン、パワーが大幅にダウン!バットマンの逆襲が始まる!!

 バットマンに拳を受け止められた時のスーパーマンの表情はこの映画のハイライトの一つですね。この辺のアクションは大変面白く、スカッとしました。バットマンのほうが、観ていて面白い。人間のスケールだからだろう。打撃の威力、拳に残る感触、スピード、運動能力、それらが想像しやすく感じやすい。スーパーマンのバトルは大味すぎて味わえないんだよなぁ。うまく想像できないし。視覚でしかそのアクションが楽しめない感じ。バットマンのは、全身でそのアクションが味わえる。

 さぁとどめだと例の鉱物で矢じりを作った槍を持ち出すバットマン。これを刺せばバットマンの勝利!スーパーマン、絶命!!やったぜ!!バットマンの勝利だ!!!

 ってまてぇい、スーパーマン殺したらおかぁさんどうすんだよ、マーサかさぁんが殺されちゃう!どうやってここから和解するんだ!?誰がこの戦いを止められる!?

 「マーサ、マーサが殺される・・・」

 呻くスーパーマン。なぜか動きが止まり動揺するバットマン

 「何故その名を知っている!?」

 ここで冒頭の伏線が生きる。バットマンの母の名はマーサ・ウェイン、なんとスーパーマンの養母とファーストネームが一緒だったのだ!一気に毒気を抜かれるバットマン、振り上げた槍は矛先を失い、その辺に放り投げられる。めちゃくちゃなウルトラCギミックでまとめたなぁと思ったが、そうだね、殺せないね、かぁさんが同じ名前じゃ殺せないよね、バットマン。わたしはこの瞬間まであの冒頭の露骨な伏線(何度も呼ばれ、画面に映されるマーサ・ウェインの文字)とスーパーマンの養母の名前を完全に失念していた。ので、このあっけないともいえるしかし感情的に腑に落ちる突然の幕引きに、とっても驚いたのだ!!

 ときどきこういう間抜けなことがわたしの身には起こる。まるで作品を最大限楽しむために必要な意識状態を自己催眠だか自己暗示か何かで無意識に演出しているのではないだろうかとさえ思うことがある。あの伏線を記憶にとどめながら意識に前景化させることができなかったのは、もはやこれはわたしの才能では?

 このあとバットマンはマーサを救いに多人数の殺陣を演じ、大変見応えがあった。スーパーマンはあのクソ野郎のところへ向かって奴の次の策と対峙するなどした。そんでワンダーウーマンとか出てきて何やかんやあって終わった。

 いやぁバットマンの殺陣とか、ウルトラCギミックの解決とか、見所満載で大変面白かった!!!

 

 終わり!